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漫画やゲーム、日常の出来事など思いついたままにつらつらと。

守り人シリーズ

公共放送でまた扱われるらしい守り人シリーズ。
今夜9時からスタートですって。
お金はかけてるらしいけど、番宣見ると大河臭8割、韓流臭2割って感じました。
演出が大河の手法から抜け出せないのがNHKの限界なのかなぁ。
見るか見ないかと言えば・・・多分見ないんですけど、
母がいつの間にか綾瀬はるかびいきになっていたのには驚きました(苦笑)

知り合いから守り人シリーズを一気に借りてきたみたいなので、
お相伴与りついでに其々の感想をちらっと。
ネタバレ大いにあり。







精霊の守り人、闇の守り人、夢の守り人
最初のこの3作は、
守り人シリーズの主要登場人物と世界観を読者にきっちり伝えるお話になっていて、
読み切りと言うのもあり、さらっと読めました。
読み易さはこの3作だけでなく他の作品もそうですね。
児童文学に分類されてるだけあってライトノベルを読んでるのと変わらず、
ちょっと空いた時間にもすぐ手を伸ばせる楽さが良いです。

あと、前に放送されてたアニメの方はチラチラとしか見てなかったんですが、
アニメは原作でのバルサのビジュアル設定を結構無視してることを初めて知りました。
原作でのバルサの容姿は、しなやかな筋肉がついてて日焼けした肌、
がっしりした顎の三十路女性とあるんですよね。
忠実に再現しても受けが悪いってことなんでしょうけど、
アニメのバルサとの共通点って言ったら髪型と・・・百歩譲って体型くらい?
アニメバルサ、顎めっちゃ小さくなってるけどそれで良かったの?
あれはどう見ても20代半ばの美人姐御キャラだなぁ。
悪くはないけど、原作ファンは泣いたでしょうね。

声優さんは違和感なかったし、むしろよく合ってると思います。
原作読んでる間、バルサとタンダはずっとアニメの声で流れてました。
ってことはですよ、
綾瀬さんがきちんと身体づくりさえしてくれたら、
メイク次第でアニメよりドラマのがバルサの再現度が上がる可能性大ですね?



闇の守り人は、今は亡きバルサの育ての親の男性を主軸に、
バルサが自分の過去と向き合う話、なんですけど、
メインのストーリーより「山の王」と「闇の守り人」の関係がよく分からなくていまいち作品に入り込めなかったです。
まず舞台となる地、カンバルの人達の死生観として、
重罪人が罪を償わずに死んだら、成仏できずに「山の王」の奴隷になり永遠の苦しみを味わう、というのが有ります。
ここで読者は「山の王」が死後の世界を象徴する、絶対的な畏怖の対象であると想像つくわけです。
で、カンバルは寒冷な山岳国で土地が痩せており、食糧確保が難しい。
他国から食料を買う為の唯一の財源が、
「山の王」の住処、地下洞窟から採れる、とっても希少価値の高いルイシャという宝石だけ。
このルイシャを「山の王」からカンバル国の王へと贈る儀式が数十年に一度執り行われ、
これによってカンバルの国の人達は(出稼ぎをしながらも)ぼちぼち生活出来ている状態。
んでこの儀式は、
カンバル国の各部族最強の武人で近衛兵でもある「王の槍」の中から選ばれた
最強の槍の使い手である「舞い手」と、
「山の王」の家来の「闇の守り人」が一対一で槍を競い合い、
「闇の守り人」に認められて初めて「山の王」から宝石をもらえるという流れになっています。

で、この「闇の守り人」が実は先代「舞い手」の亡霊で、
ルイシャをゲットする為と言うよりは、直接的には先代「闇の守り人」を弔うための儀式でした、というオチ。
そりゃ腕に自信のある武人ならしたくない事もいっぱいしただろうし、
その後悔とか苦しみから、死霊となって地下を彷徨うってのはカンバルの死後の世界とマッチするけれど、
じゃあ「山の王」は結局死後の世界の王様なのかと言うと、
巨大な水蛇の形をした「精霊」ではあるけれど、
実際に人間の魂をどうこうする様な直接的な描写があるわけでもなく。
数十年に一度脱皮して、その皮が現実世界ではルイシャとなって現れることは文中で述べられていますが、
その他に「山の王」を特徴づける描写はありません。
(他の精霊みたいな生物が敬意を払っていることから、地下洞窟一帯の精霊界のヌシであることは確か。)

とどのつまり、私が腑に落ちないのは、
脱皮する(≒ルイシャがもらえる)のと先代「闇の守り人」を成仏させるのと、何の関係もないよね、と。
なのにどうして脱皮するタイミングで儀式を行うの?と。
精霊にも意思があるので、「ルイシャやる代わりに面白いもん見せてみ」ってことなら理解は出来るんですけど、
そんな下世話な話にしていい雰囲気ではないんだよね、お話の雰囲気が(笑)
脱皮するのに人間を立ち会わせる理由・・・
強いて言うなら、人間側も供物を提供するので、
「脱皮するの疲れるねん。皮(=ルイシャ)あげるからご飯ちょうだい。ついでにそこにおる幽霊成仏させといて」
とか?
・・・いやいや、この展開は萎える、というか冒涜と言っても過言ではない(^^;)

ファンタジー世界に起こる不思議現象を全て説明して欲しい訳ではなく、
人知を超える存在は、その神聖性を維持する為にも、
人間世界に余り関わらないでいて欲しいと思ってる当方からすると、
中途半端に「ルイシャプレゼントしちゃうぞ~」なんて関われると困惑しちゃうのですよ。世俗ぽくって。
プレゼントしてくれるならわざわざこんな大がかりなイベント開催しなくても、
洞窟から採掘できるって形にすればいいんですから。
なんでわざわざ脱皮シーン見せた?
なんでわざわざ「闇の守り人」と対峙させた?
そこが宙ぶらりんで落ち着かないんですよね。
気にならずに読めた人はハッピー。
気になって本筋にのめりこめなかった私はアンハッピーてことですわ(^^;)

ただ・・・そうだなぁ、
シリーズ全体を通して「伝説」とか「神話」とか「歴史」の類は
為政者にとって都合よく描かれるものである、というテーマが明示されているので、
これは無視しちゃいけない要素ですよね。
ってことでカンバルに伝わる人間側の伝説と、精霊側の伝説を総合して、
かつ「山の王」に死者の霊魂を操る力があるという前提のもと、
ルイシャ狙いに何度も人間が地底洞窟を侵略しに来た
→「山の王」側も人間の魂を使って対抗
→色々あって和解、今の儀式の形になった
と考えると、やはり儀式は「闇の守り手」の成仏の儀式というよりは
ルイシャ譲りの儀式と捉えるべきなのかなぁ。
うーん、もやもやする。




夢の守り人は映像にするととても綺麗そうなお話です。
バルサのつれあい、呪術師見習いタンダの、お師匠さんであるトロガイの過去が絡むお話。
現実世界に嫌気がさし、自分の理想の世界を夢に見た人は、
その夢から抜け出すことが出来るだろうか、という結構えげつない設定のお話です。
子供みたいに無邪気で残酷なとある主要キャラクターが、物語の中で良いスパイスになっていますね。
このキャラクターが歌う歌がどんなものなのか、怖いもの見たさで一度聞いてみたい気もする。
そしてもし私が理想の夢の世界に入ってしまったら、そこから絶対抜け出せない自信があるよ(´・ω・`)







虚空の旅人は、精霊の守り人でバルサに助けられたチャグム皇子のお話。
ここからラストの天と地の守り人(3部作)に向けて、一気にお話が進んでいきます。
南にある超巨大なタルシュ帝国の侵略を防ぐために、
各国が権謀術数巡らしてどう生き残るか、という流れですね。

皇子のいる新ヨゴ皇国は戦嫌いで弱い国。
国力もそれほど大きくない。
同盟を組んでいるサンガル国は海賊上がりの強い国だけど、タルシュ帝国に飲み込まれ、
そうとは知らずサンガルに裏切られ窮地に陥った新ヨゴ国ではあるけれど、
新ヨゴの現帝は常に上から目線で、
同じような立場のカンバル国(国力ないけど兵は強い)やロタ国(この三国の中で最強)と同盟なんて結びたくない、
結ぶとしてもあいつらから頭下げて然るべき!と頑として譲らない。
どうしよう、これじゃうちの国滅んじゃうよと色々お先真っ暗なチャグム王子が、
バルサたちに協力してもらいつつ暗躍して頑張るお話になってます。
(どうでもいいけどチャグムってチャングムと似てるよね・・・)

十二国記みたいな大河ファンタジーは大好物なので、
私としては虚空の旅人以降の方が面白かったな。
広げた風呂敷をきちんと上手にたたんでくれた感も素晴らしいと思います。
(十二国記の新刊が今年中に出るって噂、信じてるからね!)
が、最後の戦争描写が色々と突っ込みたくなる内容で・・・。


なんか、全体的に兵士の数多くない?
タルシュが多いのは侵略側だしまだ分かる。
侵略してきた土地からいくらでも徴兵出来るし、国力もあるし。
ロタもまぁ、タルシュに次いで大きな国みたいだから理解は出来る。
でもカンバルって・・・寒冷な山岳地で農耕地は少なく芋しか取れず、
ただでさえ食糧不足気味で冬になったら男は出稼ぎに行くような国なのに、
急ごしらえで騎馬兵15000騎も新ヨゴに派遣できるって、
しかも本国には同じく騎馬兵15000騎保持してるって、
まさかカンバルの兵隊は殆ど騎兵で編成されてるんですか?と不思議でならない。
だとしても山岳地域で騎兵って条件は不利だよね?
国守れないと困るから絶対歩兵を多くキープしてるよね?
・・・カンバル国に人馬双方の食料も維持出来る財源があったとは思えない(´;ω;`)


それから対タルシュ軍との戦いで洪水を利用するって手も、
一か八かの苦肉の策ですが、ほんと、あのタイミングで起こってくれて良かったね。
いつ起きてもおかしくない洪水だったけれど、
もし半日遅かったらタルシュ軍に都を制圧されて全く意味がなかったのでは。
洪水の混乱に乗じて市民を国外に逃げださせることなら・・・ワンチャン・・・ないなー・・・。
何にせよ、新ヨゴ側にある程度洪水を誘発できる要素があるならいざ知らず、
あまりにも運任せで危ない策だったと思うんですがね。
国民の為なら何でもする気になってるチャグム王子の採用する策としては、リスクが高すぎる気がするんだよなぁ。
まぁ、都まで攻め込まれてる以上、
降伏したところで国民がろくな目にあわないってのは明らかなんですけどね。





すべてのお話を通じて「どう生きるか」が根底にあり、各巻の主人公が葛藤するというスタンスです。
どのお話の誰に共感するかは人其々ですが、この物語の良いところは、
どのキャラもしっかり掘り下げられているから行動に説得力があるというか、
悩んだ末の行動として「あぁ、その道を選んだのね」と思えるところ。
そのキャラ「らしさ」がブレてないから、ご都合主義の臭いが感じられないです。

そして、所々で挟んでくる人間の負の側面がこれまた絶妙。
「うん、分かるよ、分かるけどさぁ・・・」と言いたくなることをするキャラが、
単なる悪人として描かれてないのがいかにも日本的。
滅多なことでは勧善懲悪に持っていかない流れは、作者の子供に対する配慮を窺わせますね。
でも小学生くらいの子供に読ませたら、
あのキャラやこのキャラはきっと嫌われるんだろうな(笑)


上橋さんの他の作品はまだ読んでいませんが、
キャラクターに対する愛情がすごく伝わってくるシリーズでした。
それと、児童文学ということもあるでしょうが、人に対する愛情も感じられます。
「嫌なことも沢山あるけど、それでもめげずに前を向いて歩いて行こう。」
そんな、子供たちへの応援歌みたいなシリーズ。
小中学生に読ませるにはピッタリの本だと思いました。



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